漢検1級 2019年度第3回(R1-3)を受検してきました。前回は合格点まであと12点だったので「今回こそ合格するぞ!」と意気込み、4ヶ月掛けて漢検1級模擬試験倉庫さんの模試(45回分)を解きまくりました。果たして合格の夢は叶うのでしょうか!?
それでは漢検協会が公開している標準解答をもとに自己採点していきます。
(一) 読み
- ひんしつ
- ちつ
- こつぼつ
- えんりゅう
ごあいごい- びぼう
さんぱくひはく- ちゅんもう
- ようや
- ししゅ
よくじょうよじょう- かとう
- こうすい
- こくど
- きょう
- ぼけつ
- かいしゃく
たんゆうしんゆう- かんてん
- ふふつ
- ふく
すくすすないた- みずかき
- とお
ひしゃひし- しころ
- ひもろぎ
- つつし
- く
結果:23/30
5. 五噫を歌う は「ごい」だと簡単過ぎると思い「噫気(あいき)」からの類推で「ごあい」と誤答。一方「とんもう」だと簡単過ぎると思い「ちゅんもう」とひねって読んだ 8. 屯蒙 は正解でした。簡単すぎるから読みを変えるというのは本質的な解法ではないので、なるべく避けるべきですね。
7. 朏魄 は「朏(みかづき)」の音読みがポイント。過去問(H26-3)で一度見たことがあったのですが復習不足で覚えておらず「月だけど太陽みたいな音読みだったはず」と中途半端な記憶で「サン」と読んでしまいました。正解は「ヒ」。
11. 飫饒 の「飫」はなかなか友達になれません。「ヨ」なのにいつも「ヨク」と読んでしまいます。おそらく肥沃の「沃」に引きづられているのでしょう。わかっちゃいるけど毎回引っかかるという漢字、皆さんもありませんか?
22. 水を哈って甘苦を知る は全く知らないので勘で答えました。「この子、前にもどこかで会ったことがあるような…?」とデジャヴを感じましたが、哈爾浜(ハルビン)の「哈」なんですね。まさか訓読みで出てくるとは。手を合わせるんだから「すく(って)」だろ、と勘即答しましたが、口偏なので合わせてるのは口ですね。正解は「すす(って)」。漢検会場の空気に飲まれました。
26. 胆を拉ぎくれん は「ひしゃげる」の活用だと思い「ひしゃ」と答えましたが、「ひしぐ」の活用なので「ひし」が正解でした。おまけで許容されないかな。
(二) 書き取り
- 碌
目代瞬- 捏
- 孵
- 節榑
- 疱疹
- 獅子吼
- 紛紜
廃頽胚胎- 佇立
- 裘葛
虧望既望独誦読誦- 盧舎那
- 筆誅
- 匹儔
- 褻
- 笥
- 鰰
- 癪
結果:32/40
2. マジロぎもせず は「目」まで書いたところで「じろぐ」って何だ?と手が止まりました。「たじろぐ」の「じろぐ」か?と考えを巡らせますが「たじろぐ」の漢字もわかりません。結局駄目元で「網代木」(あじろぎ)の「代」を書いておきました。正解は「瞬(ぎ)」。「まばた(く)」「またた(く)」「しばたた(く)」の他に「まじろ(ぐ)」なんて訓読みもあったとは!(一)23「第に造りて」も間違えたので、常用漢字の表外訓読みの復習をしたほうが良さそうですね。
8. フンウンが生じた(紛紜)は最初「紛云」と書いていたのですが、見直し時にラスト10秒で天から糸偏が降ってきました。うーん、云、耘、耕耘…部首連続…はっ!といった感じだったと思います。
9. 頽廃がハイタイする は一周まわって「廃頽」が答えという引っ掛けかと思いましたが、頽廃が廃頽するなんて愚問が出るわけありませんね。なお、この間違い方をしたのは僕だけじゃなかったようで、その点は安心しましたw
ワイもや…😇 https://t.co/UnzZJ6BSWm
— 風霊守 (@fffw2) 2020年2月16日
12. 中秋の名月翌夜キボウの月 は、望月からちょっと虧(か)けてるので自信満々に「虧望」と答えましたが、世の漢検1級ガチ勢の皆様は「幾望と既望で迷うよね!」と盛り上がってらっしゃいました。陰暦14日が「幾望」で陰暦16日が「既望」らしいです。へぇ〜。
13. 聖典をドクジュして は「誦」がわかったのに「読」を間違えるという痛恨のミス。つらい。
日本史好きなので 14. ルシャナ仏 は「盧舎那」だとすぐにわかったのですが「漢検漢字辞典では『廬』だったような」と余計な記憶が邪魔して、ギリギリまでまだれをつけるか否かで逡巡しました。(結局どちらでも正解)
(三) 語選択書き取り
褥知辱知- 風馬牛
追碑追賁闃寂淅瀝- 惆悵
結果:4/10
「4. 落葉の音などの物寂しいさま」
「闃寂(げきせき)やないかい その特徴は完全に闃寂(げきせき)やがな」
ってなノリで解いたのですが、正解は「淅瀝」でした。「さんずいやったら落葉の音やのうて雨の音でしょ」と思ったのですが、雨・風・雪・落葉などの寂しい音全般を指すらしいです。まんまとダミーに釣られました。
(四) 四字熟語
問1
- 偕老
- 竹苞
- 敗柳
影向回光- 撼天
- 左眄
- 冷炙
光芒荒亡- 棘句
- 茅茹
問2
- とうれい
- すうろ
- せんきゅう
なんあいなんし- ふすう
結果:24/30
故事ことわざ「河清を俟つ」が「河清難俟」に姿を変えて、ちゃっかり四字熟語の語群に並んでました。「俟」の音読み、存じ上げません。
(五) 熟字訓
- あほうどり
- かきつばた
- いとよりだい
めじろすずむし- さふらん
- えそ
- みずすまし
- ろさんぜるす
あまつかみちりけ- ぎしぎし
結果:8/10
3. 金線魚(いとよりだい)が読めて胸を撫で下ろしたのも束の間、続く問題も 4. 金鐘児 という金攻めでした。真っ先に思い浮かんだのは「えにしだ」ですが、奴は「金雀児」で似て非なるもの。確かこれは生き物の名前のはず。「ひわ」(金翅雀)じゃなくて、えーと、えーと、「めじろ」だったか?と恐る恐る答えるも誤答。めじろは「繍眼児」でした。もはや「児」しか合ってない。「…はっ!すずむしか!」と思い出せたときには、既に検定終了から2時間が経っていました。
(六) 熟語の読み・一字訓読
- えいふ
- たお
- しょうそ
- よそお
- けんし
- みにく
- たんしょ
かひら- ぼうせん
- つと
結果:9/10
ッシャ!
(七) 対義語・類義語
- 猜疑
健闘眷恋通途逸速逸足懸攣鶏晨膠砂梏鎖圏套- 菁莪
- 復飾
- 伉儷
結果:8/20
漢検1級史上最難の対義語・類義語問題でした。
5.桑楡 の対義語は、故郷の対義語なので遠い地… ケンレンカイカクの「懸攣」!…と答えたのですが、この間違いはあまりにもひどいです。ケンレンカイカクは「懸攣」ではなく「牽攣」だし、遠く離れているという意味なのは「乖隔」のほうだし、もっと言えばそもそも「桑楡」に「ふるさと」という意味はありません。「ふるさと」は「桑梓」ですね。
(八) 故事・ことわざ
- 鑢
蓼簀蓼酢- 一飽
- 蟪蛄
- 猗頓
- 蜂蠆
潭水湍水歳羊細腰高岡未亡未萌
結果:10/20
8. 性は猶タンスイのごとし は「潭水」か「湍水」の2択で迷って間違えました。ああ勿体無い…
(九) 文章題
強遊洶湧- 双眸
- 蝟集
- 跋渉
驪六利禄- 訓詁
貫鉗用用要用- 苟
- 救恤
ア. れんこう
イ. かざ
ウ. いつわ
エ. おもえ
オ. したが
カ. きょうけん
キ. そな た
ク. びさん
ケ. とうだい
コ. いとま
結果:21/30
1. キョウユウ は素直に「梟雄」と書くべきか迷いに迷ったのですが、答えは「洶湧」でした。
問題「時には一抹、時にはキョウユウする雲の去来にいそがしい」
— 風霊守 (@fffw2) 2020年2月17日
受検時僕「梟雄!…いや文脈に合わない。もしや常用漢字の熟語が答えになるタイプの難問か?よし思い切って強遊にしよう」
帰宅時僕「しまったあああよく考えたら梟雄で合ってたわ。荒々しくて力強い雲の比喩か!!」
正解「洶湧」 😇
エ 以謂らく は 謂う+〜らくなので、「いうならく」か「いうにらく」か「いわむらく」か何かそんな感じの言葉だろうと迷ったのですが、どれなのか確証が持てず、それなら仕方ないから「おもえらく」にしておくかと賭けに出たところ、当たってました。おもえらくって「以為らく」以外にもこんな表記があるんですね。
以上、各問題の得点は 23 / 32 / 4 / 24 / 8 / 9 / 4 / 10 / 21 で…
総合結果は…
135 / 200 で不合格でした…
前回より13点下がってました。なんてこった。
「今回は難化してたから悪いんだ!」と開き直りたいところですが、過去問で見たことある問題や大見出し語表の問題を落としている点は看過できません。
漢検1級模擬試験倉庫さんの記事で各問題の難易度が考察されていました。この難易度と僕の成績を照らし合わせてみると、下記のようになりました。
- A.絶対に正解したい問題 95/108
- B.極力正解したい問題 26/35
- C.半分程度正解したい問題 17/32
- D.正解できなくてもよい問題 2/23
- E.まず正解できない問題 0/2
A問題とB問題だけで24点の失点です。難化傾向にあるので漢検漢字辞典に載っていない難問奇問に目が行きがちですが、基本を疎かにせず過去問で見たことある問題は満点が取れるように、しっかりと復習をして次回の試験に臨もうと思います!
追記 (2020/03/23)
漢検協会から検定結果が届いてきました。不合格なのは変わりないのですが、自己採点より5点良い 140点 でした。ギリギリ7割です。
「おまけで許容されないかな」と書いていた(一)26の「ひしゃ(ぎ)」が正答扱いになって+1点でした。残りの+4点は、(七)を1問1点で計算するという凡ミスによるものでした。