ふれっしゅのーと

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趣味に生きる30代エンジニアが心に移りゆくよしなし事をそこはかとなく書きつくるブログ

めざせ漢字王!はじめての漢検1級受検<後編>

めざせ漢字王!はじめての漢検1級受検<前編> の続きです)

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漢検1級の初受検を控え、過去問をひたすら解き進めました。
平成10年度第1回から順番にチャレンジしていき、多くの回で160点以上を取ることができたので「これはもしかしたら合格できるかも!」と自信を持てるようになってきました。点数の推移は下図の通り。

漢検1級過去問の点数の推移
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過去問は平成29年度まで取り寄せていたのですが、古い過去問から解き進めていたため、残念ながら最近の過去問を十分に解く時間を確保できませんでした。痛恨のスケジュールミスです。試験時間は60分、答え合わせは10分ぐらいで済むのですが、その後の復習の仕方が非効率的で、想定以上に時間を要してしまったのが反省点です…

過去問の復習の反省点

漢検漢字辞典の罠

復習では間違えた漢字を『漢検漢字辞典』で調べて、読みや熟語をノートに書き出すという単純な作業を繰り返していたのですが、ここに時間のロスがありました。実は勉強時間の多くを『漢検漢字辞典』の索引を引いてページをぺらぺらとめくる作業に費やしてしまっていたのです。

漢検 漢字辞典 第二版

漢検 漢字辞典 第二版

 

漢検漢字辞典』は普通の漢字辞典とは一線を画し、部首順ではなく代表音の五十音順で漢字を立項しているのが特徴で、読みから直感的に引くことができるのですが、

  • 読みの次は画数順になってるので複雑な漢字の画数を数えなくてはならない
  • 複数ある音読みのうち代表音以外のハズレ音で引いたら一向に見つからない
  • そもそも音読みがわからない

といったトラップがあり、目的の漢字を引くのに予想以上に時間を要してしまいます。さらに四字熟語辞典を引いたり国語辞典を引いたりすると、貴重な勉強時間はどんどんなくなっていきます。『漢検漢字辞典』は漢検1級合格には欠かせないバイブルなのですが、復習では『漢検漢字辞典』に固執せず、手書き文字で素早く引ける電子辞書も積極的に利用すべきだったと反省してます。

  • 全訳 漢辞海 第三版(有料)
    物書堂の辞書統合アプリと組み合わせて使うと、国語辞典と漢字辞典の横断検索ができるのでおすすめです。有料ですが入れておいて損のないアプリだと思います。『漢検漢字辞典』に載ってる訓読みが載っていないことがあるので、その点は注意が必要です。

  • 漢字ペディア(無料)
    漢検協会謹製のWebアプリなので『漢検漢字辞典』に準拠しています。変換しにくい漢字を調べる際は、スマホの手書き入力機能と組み合わせると便利です。熟語が子ページになっているので一覧性は紙の辞書には及びません。

漢字の音符の調べ方

同じ音符をもつ漢字を整理するのは、漢検1級の勉強において極めて大事なのですが、これもなかなか骨が折れます。音符をまとめた『漢字音符字典』が最も頼りになる書籍なのですが、音符の読みの順番に掲載されているので、

  • 音符の読みがわからないと引けない(ex.「修」の音符は「ユウ」)
  • そもそも音符がどれかわからない

といったトラップがあります。巻末に載っている索引は、画数ごとに漢字が無造作に羅列されているだけであまり役に立ちませんでした。あと『漢字音符字典』が絶版で入手困難という難点もあります(私は図書館で借りました)(2022-11-11追記:『漢字音符字典 改訂新版』が出て容易に入手できるようになりました)

『漢字音符字典』で目的の漢字がなかなか見つからないときは、先人のブログ記事に頼りました。おすすめは下記のサイトです。

  • 漢字の音符(石沢誠司氏)
    Googleで「漢字の音符 +(調べたい漢字)」で検索するとヒットします。調べたい漢字の同音家族をまとめた記事が出てくるのでおすすめです。辞書のように細かく解字や意味が書いてあります。
  • 漢字検定1級受験者応援ブログ(老いぼれプログラマ氏)
    Googleで「漢字ノート +(調べたい漢字)」で検索するとヒットします。手書きのノートと解説記事がアップロードされています。Yahoo!ブログなので、このまま移行されないと2019年12月で消えてしまいます…

 

 

漢検1級の難化 

さて、古い過去問は十分に解けたのですが、復習に時間を要してしまったため、肝心の過去5, 6年分の過去問を全く解けていないまま本番まで残り2週間になってしまいました。流石に最近の過去問を全く解かないのはまずいだろうということで、念のために取り寄せた中で最も新しい平成29年度第3回の過去問を解いてみたのですが…

125点。この期に及んで過去最低点です。最近難化傾向にあるとは噂には聞いていたのですが、想像の10倍ぐらい難しくなってました…( ºωº )

問題構成が平成28年度から大幅に変更されており、今まで得点源とされていた国字問題や四字熟語意味選び問題が消滅していて、その上、各問題のレベルも上がっているという鬼畜っぷり。

ちゃんと数えたわけではないですが、過去問と重複する問題の出題率も下がっていて、新規問題が増えている気もします。四字熟語や対義語類義語も漢検1級受検勢が苦手とする常用漢字の熟語の出題が増えていて、ただ単に漢検1級配当の漢字を勉強しているだけでは太刀打ちできない状態に。

その後、他の平成29年度の問題も解いてみましたが、29-2 119点、29-1 123点、と惨憺たる成績。ウーン。

 

直前対策(本番2週間前〜)

試験直前は追い込みで漢検1級模擬試験倉庫さんの教材を使って勉強しました。充実の問題量で大変秀逸なサイトです。時間が足りず、模擬試験倉庫さんのオリジナル模試を全然解けなかったのが心残りです。 

直前模試の結果は141点。ウッ…

 

試験本番

2019年6月16日(日)、いよいよ本番の日になりました。あとは野となれ山となれ。

筆記用具と受検票をカバンに入れたことを念入りに確認し、意気揚々と家を出たのですが、しばらくしてカバンごと家に忘れたことに気づきました。先が思いやられます。

試験会場は龍谷大学瀬田キャンパスでした。試験開始の90分前に到着。

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滋賀県漢検1級受検勢は14名(1名欠席)。高齢のベテラン層と若手のチャレンジャー層が半々で、最年少は中学生の少年でした。

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会場に入ると、黒板には「1きゅう 13:40-14:40」とひらがなで書いてありました。受検票もそうでしたが、徹底して漢字を使わないようにしてあります。黒服のお姉さんによる一連の説明が行われた後、13時40分、令和最初の試験の火蓋が切られました!ペリペリペリ...(問題用紙の袋綴じをはがす音)

 (一) 読み

3「軫念」
「しんねん」と答えたつもりだったのですが、のちに結果通知を見たら誤答になってました。「殄」に引きづられて「てんねん」とでも答えてしまったかな…

5「梭影」
×「しゅんえい」 ○「さえい」

12「玉笄」
○「ぎょくけい」 ◎「ぎょっけい」
標準回答は「ぎょっけい」でしたが「ぎょくけい」も許容されてました。セーフ。

13「碪杵」
×「たんしょ」 ○「ちんしょ」
あとで「砧杵」の異体字ということに気づきました。

14「卸事」
×「ぎょじ」 ○「しゃじ」
常用漢字「卸」の表外音読みを問う問題。準1級力…

15「靨笑」
×「えんしょう」 ○「ようしょう」

20「弭息」
×「じそく」○「びそく」

22「影をして」
×「おと」 ○「ひた」

25「ねぶりをいつる物」
×「うな」 ○「おそ」
魘の訓読みは「うなされる」しか思い浮かばなかった…

26「鋩」
×「かざり」 ○「きっさき」
初見。「錺」の異体字であることを信じましたが駄目でした…

28「潦」
×「みずたまり」 ○「にわたずみ」
「にわたずみ」が真っ先に思い浮かんだのですが「ちょっと待てよ、にわたずみは二文字で『庭潦』じゃないか?」と魔が差して誤答しました…

30「り」
×「くぎ」 ○「か」
小学1年生の漢字からの出題。こんな訓読みがあったとは盲点だった。

結果:19 / 30
6割。音読み問題はもっと取っておきたかった…

 

(二) 書き取り

3「ほくそえむ」
×「嘲笑」 ○「北叟笑」
過去にツイートしていたのに思い出せませんでした。悔しい。

14「ろうはちえ」
×「臘鉢会」 ○「臘八会」
臘の意味的に臘八で12月8日の意になるかも…とは思ったのですが、漢検1級で「八」という簡単な漢字を書く踏ん切りがつかず、悩んだ末に「衣鉢」の「鉢」を書いてしまいました。無念。

15「ちょうしゅうしゃ流」
×「長秀斜」 ○「長袖者」
難問。相手を皮肉ってるような文脈だったので勘で造語しましたが、「長」しか合ってませんでした。三字熟語が苦手過ぎる…

結果:32 / 40
書き取りはギリギリ8割取れました!

 

(三) 語選択書き取り

3:×「鶯鳴」 ○「嚶鳴」
5:×「静謐」 ○「人定」

結果:6 / 10
超難問「人定」は手も足も出ず。「嚶鳴」は1級受検者なら知っておきたかった。

 

(四) 四字熟語

4「○○濁賢」
×「清誠」 ○「清聖」
漢検四字熟語辞典を通読したときに見たことはあったのですが、常用漢字四字熟語なのであまり印象に残ってませんでした。意味から造語するも一歩及ばず。

5「○○舂雨」
×「凱風」 ○「磑風」
磑(いしうす)かあ…

10「夏虫○○」
×「擬氷」 ○「疑氷」
常用漢字四字熟語勘回答シリーズ第2弾。惜しくも手偏をつけてしまった…

結果:24 / 30
意味は全問正解だったので、なんとか8割。磑風舂雨は当てるべきでした。

 

(五) 熟字訓

3「主計」
×「ちから」 ○「かずえ」
主水(もんど)じゃないし主税(ちから)でもないし…と頭を抱えてました。

5「火魚」
×「はたはた」 ○「かながしら」
燭魚(はたはた)っぽかったので。カナガシラなんて魚、知らない…

7「水松」
×「みるめ」 ○「みる」
二文字では「みるめ」とは読まないのか。こういうときは大体余計なことを書かないほうが正解になるんだよな。

9「旋花」
×「ひまわり」 ○「ひるがお」

結果:6 / 10
熟字訓はほぼ対策していなかったので、まあ妥当な結果です。

(六) 熟語の読み・一字訓読

2「まる」
×「から」 ○「とど」
「からげる」という訓読みしか覚えてませんでした。

4「る」
×「むさぼ」 ○「くさ」
「うえる」という訓読みしか知らなかったので送り仮名が「る」だけで困惑。意味的に近い「むさぼる」を答えましたが、第二義で「くさる」という訓読みがあるんですね。

6「ける」
×「しりぞ」 ○「くじ」

9「歛丐」/ 10「む」
×「れんかい」 ○「かんかい」/ ×「めぐ」 ○「のぞ」
完全にノーマークの漢字でした…

結果:5 / 10
訓読み力がまだまだ足りません。

 

(七) 対義語・類義語

1「叮嚀」の対義語
×「反噬」 ○「忽諸」 

2「報恩」の対義語
×「悋気」 ○「反噬」

4「冱寒」の対義語
×「蓐暑」 ○「溽暑」

5「邑落」の対義語
×「華落」 ○「華洛」

6「猜忌」の類義語
×(??) ○「悋気」

8「桑梓」の類義語
×「反噬」 ○「枌楡」

結果:8 / 20
苦手な対類問題。めっためたにやられました。意味のわからない熟語があると、誤った語を選択してしまって、芋づる式に2問間違えてしまうのがきついです。

 

(八) 故事・ことわざ

3「シンリョウを積むが如し」
×「畛糧」 ○「薪燎」

4「田父はザサツすべし」
×(空欄) ○「坐殺」

9「良工はクサクの中に漸う」
×「工作」 ○「矩鑿」

10「イチエイ眼にあれば空華乱墜す」
×「一盈」 ○「一翳」

結果:12 / 20
故事・ことわざって何で勉強するのが良いんでしょうね。

 

(九) 文章題

6「キンサイ」
×「金裁」 ○「金釵」
文脈からきらびやかな何かだとはわかりましたが、「釵」の発想は出てこないなあ。

7「ラキ」
×「螺器」 ○「羅綺」
文脈からきらびやかな何かが翻ってるのだとはわかりましたが、布でしたか。

8「シュウゴウ」
×「愁毫」 ○「秋毫」
ニュアンスは合っていたけど、また余計なものをつけちゃいました。

10「艱難シンソ
×「辛疽」 ○「辛楚」

ウ「五百機」
×「いおばた」 ○「いおはた」
これは許容されないんですね。連濁や音便は難しい…

結果:21 / 30

 

総合結果は…

 

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133 / 200 で不合格でした… _(:3 」∠)_

まだまだ勉強が足りなかったようですね。次回また挑戦しようと思います。