「いつかは漢検1級に合格したい」
それが私の幼い頃からの夢でした ──
大学1回生の夏、漢検準1級に合格し、次はいよいよ念願の漢検1級となりました。しかし漢検1級の勉強は準1級までとは違い一筋縄ではいきません。問題集をむやみに解いても成績が伸びず、飽きてブランクを空けたら折角覚えた漢字が抜けてしまい、何度もくじけそうになりました。受検記の<前編>では、そんな漢検1級初受検に至るまでの紆余曲折の道のりを書いていきます。
征服できない完全征服(2012.07.09 - 2015.09.20)
本腰を入れて漢検1級の勉強を始めたのは大学院に入ってからでした。サークルの後輩らが漢検1級の勉強を始めだしたというのもモチベーションにつながったと思います。
同期らがルネの15%OFFセールでこぞって理系専門書を買う中、私は『漢検 完全征服 1級』を購入。
— 風霊守 (@fffw2) July 9, 2012
最初に購入した問題集は『完全征服』です。このときはまだ知る由もなかったのですが、この1冊を解いただけで “完全征服” できるほど漢検1級は甘い世界ではありませんでした。
論文読みに飽きてきたので、一年ぶりに漢検1級完全征服の続きを解いてみてる。脳味噌が痺れる難しさ。
— 風霊守 (@fffw2) May 26, 2013
ようやく『完全征服』の音読みを終えることができた。重すぎ。 #漢検1級
— 風霊守 (@fffw2) July 4, 2013
訓読み問題、音読み問題の10倍のスピードで進む! #漢検1級
— 風霊守 (@fffw2) July 5, 2013
漢検1級の問題集、いよいよ四字熟語に突入したが、まるで分からん。参ったね。
— 風霊守 (@fffw2) September 7, 2013
やっと『漢検完全征服1級』の四字熟語の章が終わった。たった四文字に情報詰まりすぎだ。これだから漢字は面白い。
— 風霊守 (@fffw2) August 19, 2014
2012年7月9日に購入した『漢検1級 完全征服』をついに全問解き終わった!
— 風霊守 (@fffw2) October 5, 2014
やっとのことで『完全征服』を解き終えたときには、丸2年が過ぎ、私は大学院を修了して社会人になっていました。
反省点は 意味調べに時間を掛けすぎた ことです。
漢検の問題集の熟字訓のページが図鑑みたいになってきた pic.twitter.com/nGZcYEpGqd
— 風霊守 (@fffw2) August 7, 2013
気になったことはとことん調べたくなる性分が災いし、故事成語の出典となった漢文を読んでみたり、熟字訓問題で出てきた動植物をいちいち図鑑で調べて模写したり、意味調べに多大な時間を費やしてしまいました。深く調べた分、印象には残るのですが、やはりコストパフォーマンスが悪すぎます。
今なら言えますが、音読み問題は最悪意味がわからなくても読めればよいですし、故事成語は別に原典が何なのかまで知らなくてよいですし、熟字訓は最大10点であまり得点源にならないので勉強の優先度は極めて低いです。
『漢検1級 完全征服』2周目クリア\\\\ ٩( 'ω' )و //// 時々飽きて放り投げていたので、なんだかんだで1年掛かった。 http://t.co/sxc8sqVUKh
— 風霊守 (@fffw2) September 20, 2015
さらに1年を掛けて2周目も解き終えたのですが、だらだらとブランクを空けつつ勉強したせいで、折角覚えた漢字も頭から抜けてしまっていて、あまり実力がついた気がしません。問題集を解くときは短期的に集中して取り組むべきでした。
漢字熱、再燃(2016.07.23 - 2016.07.30)
2016年7月23日、京都祇園に新しくオープンした漢字ミュージアムに行ってきました。
くにがまえ投げ、シュールすぎる。 pic.twitter.com/N6J2Hs5qgO
— 風霊守 (@fffw2) July 23, 2016
漢検模試体験コーナーがあったので、意気揚々と挑んでみたのですが、結果は10点満点中1点。ひどすぎる。完全征服を2周したとは思えない惨憺たる成績…
いっぱい朱を入れられたので、本気で漢字を勉強しなくちゃいけないなと思いました(小並感) pic.twitter.com/qQWlO2Jdra
— 風霊守 (@fffw2) July 23, 2016
漢字熱が再燃しました。
ここで、心機一転、新しい問題集に着手しました。『2つの級を同時に学べる 漢字検定1級・準1級』という1級と準1級が同時に学べるタイプの問題集です。準1級の問題は2008年に解き終えていたので、今回は1級の問題のみ解きました。模試1点が相当悔しかったのか、集中して1週間で解き終えました。
漢字熱、再燃。8年前に準1級分だけ解いた問題集があるので、やり残した1級分を解いてみるか。 pic.twitter.com/TWQCoFbUOr
— 風霊守 (@fffw2) July 23, 2016
『2つの級を同時に学べる 漢字検定1級・準1級』(2008年・資格試験対策研究会)解き終わった(模試6回分除く)。『漢検完全征服』と比べると、設問が平易なのか、解答解説に意味が掲載されているからか、随分と素早く一冊終わった。
— 風霊守 (@fffw2) July 30, 2016
解答解説に意味が書いてあるおかげで、意味調べの手間が省けたのが大きかったです。あと、漢検1級の問題集では珍しく、明朝体ではなく楷書体で見やすい本でした。
頻出度順は積ん読
頻出度順は一応買ったのですが、ほとんど解いた記憶がありません。どうしたんでしょうね。
4年ぶりに漢検1級の新しい問題集を購入٩( 'ω' )و pic.twitter.com/9ot5cRdm9K
— 風霊守 (@fffw2) July 30, 2016
『頻出度順漢字検定1級合格!問題集 平成28年度版』を本棚から出してしげしげと眺めているが、とても綺麗だ。ひょっとすると買うだけ買って未着手なのかもしれない。あとで分からなくなるから解いたらちゃんと記録をつけておかなきゃな…
— 風霊守 (@fffw2) October 3, 2017
赤シートで隠せるので電車の中などで気軽に解けるのが利点です。付録の四字熟語・故事・ことわざ一覧には主要なものだけが載っているので、さくさく読めて復習には適していると思います。常用漢字の表外読み一覧は用例が載っていて完全征服の付録より使いやすいです。
QMA「漢字・四字熟語検定」(余談)
漢字熱をキープするため、問題集だけではなくクイズマジックアカデミーの「漢字・四字熟語検定」にもチャレンジしました。
QMAで漢字・四字熟語検定を受けてみた pic.twitter.com/IJM3Ff9145
— 風霊守 (@fffw2) October 1, 2017
漢字・四字熟語検定、全国ランキング358位に入ってた。 pic.twitter.com/XH7kNvj5VH
— 風霊守 (@fffw2) October 1, 2017
結果は SS で全国ランキング入りです!やったぜ!!(10コインぐらい投入した気がする)
四字熟語を制す者は漢検1級を制す
このまま問題集を淡々と解き続けても合格できないと思い、改めて勉強法を考え直しました。特に参考になったのはめぐみ式勉強法の「STEP01: まずは四字熟語から」です。
今まで問題集を無計画に解いていましたが、どうやら四字熟語から覚えるのが近道らしいです。漢検四字熟語辞典には膨大な数の四字熟語が載っていて愕然としますが、めぐみさんによると、漢検1級配当の四字熟語で、かつ、熟語の上下を入れ替えただけのものや「之」を含むのを除外すると、暗記すべき四字熟語はわずか868個だというのです。
漢検一級四字熟語一覧をExcelにインポートした。勉強するぞー。
— 風霊守 (@fffw2) May 2, 2017
漢検一級配当四字熟語一覧読み終わった\( ・ω・)/
— 風霊守 (@fffw2) September 29, 2017
4ヶ月掛けて868個の四字熟語に目を通して、ちんぷんかんぷんだった四字熟語が少しずつわかるようになってきました。ちなみに五十音順に進めていくと、早くも「イ」で「一」から始まる四字熟語が多すぎてげんなりします。その後もなかなか進まず「本当に終わるのか…?」と焦ってきますが、タ行を終えたあたりで何故か一気にスピードアップします。
漢検一級配当の四字熟語の勉強が後半かなりのペースで進んだので、気になって頭文字別の四字熟語数を調べてみた。やっぱり前半に偏ってる! pic.twitter.com/06UWT1hxc3
— 風霊守 (@fffw2) September 29, 2017
実は四字熟語を五十音順に並べるとア行〜サ行に偏っているんですね。山場の「シ」を終えたら、もう後半戦に入ってますので、どうか力尽きずに完走してください。
何故買ったのかわからない分野別精選演習
四字熟語を一周して、次なる勉強法を調べていたときに重大な発見をしました。
『完全征服』は平成8年から16年までの過去問、 『分野別精選演習』は平成15年から平成22年までの過去問の抜粋なので、実は問題集を解かずとも過去問だけをひたすら解き続ければよい のでは…?
漢検一級の『完全征服』は平成8年〜16年の過去問、『分野別精選問題集』は平成15年〜平成22年の過去問からの抜粋だったのか!新しく『分野別精選問題集』を買おうかと思ったけど、国会図書館で過去問を複写したほうが良い気がしてきた。
— 風霊守 (@fffw2) September 30, 2017
この偉大なる発見をツイートした数週間後に 『分野別精選演習』を買っちゃってるのは、我ながら理解しがたいです。どういう風の吹き回しか。
『漢検1級分野別精選演習』を手に入れたぞ!
— 風霊守 (@fffw2) October 12, 2017
しかも結局買ったけど全然解きませんでした。(今回の記事を書くにあたり本棚を調べてみるまで、買ったことすら完全に忘れていました)
四字熟語2周目(2018.11.19 - 2019.03.30)
再び1年のブランクが空きました。一大イベントである結婚式を終えて、落ち着いたら一気に漢字欲が高まってきました。
漢字勉強欲が高まってる。20代のうちに漢検1級に合格したい。
— 風霊守 (@fffw2) November 19, 2018
しかし1年のブランクは大きく、あれだけ頑張って読み切った四字熟語も結構頭から抜けてしまってました。書かずに読むだけで済ませたというのも印象に残らなかった原因だと思います。
2周目では『漢検四字熟語辞典』に載っている漢検1級配当の四字熟語を全部ノートに書き出すことにしました。さらに、漢検1級配当以外の四字熟語もすべて一度は目を通しておくことにしました。なかなか時間の掛かる作業でしたが、網羅的に勉強できて実力アップにつながりました。
ついに『漢検四字熟語辞典』を最後まで読み終えた!一級配当分の抜き出しもフィニッシュ。未知の漢字に出会えるのは何歳になっても楽しいものだな。 pic.twitter.com/2aSJ4VRPuV
— 風霊守 (@fffw2) March 30, 2019
国立国会図書館で過去問を入手(2019.03)
漢検1級の勉強で不可欠なのは過去問です。古い過去問はAmazonなどで篦棒なプレミア価格になっているので、国立国会図書館でコピーするのが正解です。遠隔複写サービスを利用して、平成10年から平成29年までの過去問を一気に入手しました。
国立国会図書館から漢検一級の過去問のコピーが届いたぞ!俄然やる気が出てきた。 pic.twitter.com/kMzlRlZOaA
— 風霊守 (@fffw2) March 20, 2019
過去問の複写対象ページは下記のサイトを参考にしました。
- 1級の問題と解答が載っている過去問集の頁 - 鑿壁偸光(H4 - H21)
- 国立国会図書館で過去問集(複写)を入手する - 寸草春暉(H19 - H26)
- 漢検1級の過年度過去問題集を国立国会図書館で入手する方法 - 30's 資格論(H27 - H28)
- レファレンス協同データベース(H29)
ただし『1級合格捷径 : 漢検1級への近道 用例・既出問題集』(H4 - H6)と『「1級」日本漢字能力検定公式問題集』(H7 - H9)の複写は、残念ながら国立国会図書館に謝絶されてしまいました。複写請求ページ数が著作物全体の1/2を超えてはならないというルールがあるのは知っていたのですが、上記の本はいずれも各年度ごとに一著作物とみなされるそうです。書籍全体の1/2は超えてないのですが、各年度ごとで見ると1/2を超えていたのでアウトでした。
なお複写請求は国立国会図書館オンラインからでもできますが、貸出中が一つでもあると請求できないという仕様なので、所定の用紙に手書きして郵送請求するほうが融通がきいて確実です。
音読みのバイブル『漢字音符字典』(2019.03.28 - 2019.04.07)
漢検1級の音読み対策のバイブル『漢字音符字典』を図書館で借りてきました。漢字の音符が網羅されている良書なのですが、惜しいことに2018年7月末で絶版になってしまっていて、本屋に行っても手に入りません。図書館の貸出期限もあるので、この本は1週間でさくっと読み終えました。
『漢字音符字典』読了。途中で心が折れそうになった。覚えてるかは別にして漢検一級配当までのすべての漢字に触れられたので、そろそろ過去問に着手してみようかな。
— 風霊守 (@fffw2) April 7, 2019
(2022-11-11追記)
待望の改訂新版が出たようです → 『漢字音符字典 改訂新版』(Amazon)
夢への扉がひらかれた
ここまで長い時間が掛かりましたが、やっと過去問に立ち向かえるぐらいの実力がついてきました。今の段階で 6, 7 割ぐらい取れたら本試験に申し込もうと心に決めて、いざ過去問を解いてみました。結果は…
- 平成10年度第1回:156点
- 平成10年度第2回:168点(合格)
- 平成10年度第3回:152点
- 平成11年度第1回:141点
- 平成11年度第2回:167点(合格)
- 平成11年度第3回:153点
意外と良かったです!!
この調子なら、もう少し勉強すれば合格できるかもしれません。自信を持った私は意を決して念願の漢検1級に申し込みました。
令和最初の漢字検定に申し込んだ
— 風霊守 (@fffw2) April 18, 2019
本試験は2ヶ月後の令和元年6月16日。はたしてふれっしゅは合格できるのか?
<後編>へ続く