ふれっしゅのーと

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趣味に生きる30代エンジニアが心に移りゆくよしなし事をそこはかとなく書きつくるブログ

科学の進歩で実現したドラえもんのひみつ道具

NHKドラえもん50周年 みんなみんなかなえてくれる♪ ひみつ道具と科学」(2019/12/28放送)で、現代の科学で実現したドラえもんひみつ道具が特集されていました。

ドラえもん大好きだけど番組を見逃してしまったという人や未来のドラえもんファンのために、番組で紹介されていた20種類のひみつ道具を記事に残しておきます。若干こじつけっぽいものもある気がしましたが、未来の科学技術を予想して物語に描いていた藤子・F・不二雄先生の想像力には改めて感服です。

ほんやくコンニャク

→ 音声翻訳機

「ほんやくコンニャク」はドラえもんの代表的なひみつ道具なので、「音声翻訳機」が普及し始めた頃から「ほんやくコンニャク」が現実のものになったとよく言われてましたね。古代人や宇宙人と話せるという点ではまだまだ「ほんやくコンニャク」のほうが上位互換ですが。

トレーサーバッジ

GPS全地球測位システム

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のび太には、ぼくらのいる所がすぐわかるらしいよ。」
「うすっきみわるいなあ。どうしてわかるんだろ。」
(『ドラえもん(9)』「トレーサーバッジ」より)

「トレーサーバッジ」は、バッジ(トレーサー)を付けた人の位置情報がレーダー地図で見られるというひみつ道具です。まんまGPSですね。レーダー地図の画面移動や拡大縮小は古めかしいボタンやレバーなので、これは現実の科学技術(タッチパネル)の勝利だと思います。

糸なし糸でんわ

→ 携帯電話(スマートフォン

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「糸なし糸でんわ」は、糸のない糸電話を通して遠距離にいる相手と会話ができるというひみつ道具です。現在の携帯電話を予想していた!…と番組で紹介されていたのですが、1985年9月にNTTのショルダーホンが完成し、その3ヶ月後の『小学1年生』1985年12月号に「糸なし糸でんわ」が初めて登場しているので、実は「糸なし糸でんわ」のほうが携帯電話よりも後出になります。

同じく1985年12月に発売した『ドラえもん(35)』を開いてみると、音声を遠くに送信する「メッセージ大砲」や、音声を文字に変換する「ききがきタイプライター」も登場していました。これらも今ではスマートフォンで当たり前に使える時代になってますね。

おじさん
お元気ですか
ワッちゃんとかけた
(『ドラえもん(35)』「ききがきタイプライター」より)

余計な声まで文書化されるという欠点は35年経った今も改善されていません。

あっちこっちテレビ

→ 撮影用ドローン

「あっちこっちテレビ」は、カメラロケットを飛ばしてモニターであちこちの映像を見られるというひみつ道具です。「スパイ衛星」も同じ感じですね。今や安価なトイドローンも発売されて簡単に空撮映像を中継できる時代になりました。僕もTelloというドローンを1台持ってます。

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▲単行本と同じサイズの小ささです

エアコンスーツ

空調服(エアコンスーツ)

のび太の日本誕生』でのび太たちが着ていた原始人っぽい見た目の服です。そのまま「エアコンスーツ」として現実化されました。

tech.nikkeibp.co.jp

ポラロイドインスタントミニチュア製造カメラ

3Dプリンター

長い名前のひみつ道具ランキングで上位にランクインしているであろう「ポラロイドインスタントミニチュア製造カメラ」は、撮影した物体のミニチュアを即座に作成する22世紀のカメラです。3Dプリンターという形で現実のものになりました。

余談ですが、長い名前のひみつ道具ランキング第1位は『ドラえもん(17)』に登場する「狂音波発振式ネズミ・ゴキブリ・南京虫・家ダニ・白アリ退治機」(37文字)です。現実でも実現できそうな気がしたので調べてみたところ、超音波式の駆除機が発売されていましたが、実際には効果がなく、景品表示法違反(優良誤認)として消費者庁に処分されていました。やはり未来の「狂音波」じゃないと駄目なんですね。

headlines.yahoo.co.jp

ロボット・カー

→ 自動運転車

自動運転車の実証実験も始まり、なんだか当たり前の技術のような気がしていましたが、よく考えると22世紀のような未来感あふれる技術ですね。そのうち自動車が空を飛ぶ時代も来るかもしれません。

空気クレヨン

→ 3Dアートペン

2008年にAR(拡張現実)で空気クレヨンを実現したニュースを見て驚いたのも昔の話になりました。 www.nicovideo.jp

今や子供用のおもちゃとして3Dアートペンが販売されています。ドラえもんの空気クレヨンのように空間に自由に落書きすることができます(地面にくっついている必要はありますが)。2013年に「3Doodler」という商品が発売されたのが最初で、3Dプリンターと同じく溶かした樹脂を射出して即座に固めることで空間上の造型を実現しています。

gigazine.net

タケコプター

→ ホバーボード

ホバーボードというと『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に出てくる浮遊スケボーっぽいものを思い浮かべますが、カナダ・ケベック州のアレクサンドル・ドゥルー氏が開発したホバーボードは足元の10枚のプロペラでタケコプターのように空高く飛べる道具です。

www.youtube.com

ドラえもん50周年ということで番組ではカナダに飛んで現地取材を行っていましたが、残念ながら開発者はドラえもんのことを全く知らなかったようです。

とうめいマント

再帰性影技術による光学迷彩

www.youtube.com

東京大学の稲見昌彦教授が1998年に開発しました。反対側の映像を服に投影することで透けてるように見せるという技術です。

www.asahi.com

開発のヒントはドラえもんではなく攻殻機動隊らしいですが…

稲見教授が研究室に入った時、渡されたのが「攻殻機動隊」の漫画でした。(中略)『攻殻』は、まさに教養書でした(中略)「もし、これが『透明マント』という名前だったら、開発しようとは思わなかったかもしれない」と稲見教授は振り返ります。

人間あやつり機

→ 遠隔二人羽織ロボット「Fusion」

東京大学慶應義塾大学科学技術振興機構が2018年に共同開発したロボットです。まさにリアル人間あやつり機。

www.youtube.com

Fusionで可能なのは手の制御だけですが、全身を制御できるようにすれば、やがては昼寝中のパパにマラソンをさせたりプロレスをさせたりできる未来も来るかもしれません。

「マラソンとプロレスのゆめをみたら、からだじゅうがいたい。」
(『ドラえもん(9)』「人間あやつり機」より)

うそつきかがみ

→ 写真加工アプリ

アニメ版が神回になることで定評のある「うそつきかがみ」ですが、現代ではSNOWなどの写真加工アプリとして実現されています。鏡を見ている自分だけでなく写真として他人にも見せられる分、うそつきかがみより嘘が過ぎる気も。

声のキャンデー

→ AIリアルタイム声質変換アプリ「voidol

www.youtube.com

元の声にエフェクトをかけるボイスチェンジャーと違い、声質を変換した新たな声をリアルタイムに生成するのが特徴です。番組では粟野咲莉ちゃんと木村昴さん(ジャイアンの声)が259個のサンプル文を読み、これを開発者の方々が機械学習させて、粟野咲莉ちゃんの声をジャイアンの声にリアルタイム変換していました。この技術を使えば名探偵コナンの蝶ネクタイ型変声機も作れそうですね。

インスタントテレビ局

YouTube

今や誰でも手軽にテレビ番組を放送できる時代になりました。ちなみに「YouTube」は直訳すると「あなた・ブラウン管」で、個人が番組を作り配信して楽しんでほしいという意味が込められています。

ようろうおつまみ

粉末酒

ようろうおつまみを食べながら水を飲むと上等なお酒になります。愛知県の佐藤食品工業が「粉末酒」を開発しており、水に溶かすと酒になるという点で全く同じです。番組では佐藤食品工業の全面協力の下、粉末を瓢箪型に固形化してようろうおつまみを再現していました。

どこでもドア

→ どこでも見えるドア

protopedia.net

ドラえもん好きの有志の方々が作った非売品です。行きたい場所を言ってドアを開けるとその場所の映像がドアの向こうに表示されるという代物。Googleストリートビューを利用しているため、「しずかちゃんの家のお風呂」には行けないようです。

メロディーお玉

→ 自動作曲システム「ORPHEUS

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詩に合わせて自動で作曲するひみつ道具「メロディーお玉」は、東京大学の研究により自動作曲システム「ORPHEUS」という形で実現されました。歌詞を入力して曲のスタイルを指定するだけで即時に楽曲が生成されます。

六面カメラ

→ 全方位カメラ(360度カメラ)

www.youtube.com

「六面カメラ」は被写体の上下前後左右を同時に撮影でき、しずかちゃんのスカートの中を覗くことにも悪用されうるひみつ道具なので、カメラを中心に360度を撮影できる「全方位カメラ」とはコンセプトが違う気がしますが…

アンケーター

→ DNA鑑定

「アンケーター」は、髪の毛一本から遺伝情報を解析することで、本人に直接聞かなくても本人の意見を聞き出せるというひみつ道具です。しずかちゃんの一番の好物が「やきいも」であることもこのひみつ道具でわかりました。まだ現代の科学はDNAから好物を導き出せるほどには進歩していません。

ペタリハンド

→ 膜袋型ロボットハンド

www.youtube.com

東北大の多田隈建二郎准教授らの研究チームが開発したロボットハンドです。シリコン製の袋の中にコーヒーなどの粉が入っていて、中の空気を抜いたり入れたりすることで、様々な形や大きさの物体に密着します。まさにドラえもんのペタリハンドそのもの。番組では多田隈准教授の開発当初のアイデアノートが出てきて、そこには「ドラ手のような半球」とメモ書きがされていました。ドラえもん愛の強い多田隈准教授は、研究のためにドラえもん全巻を読み直したそうです。

おわりに

ドラえもん50周年記念特番で紹介されていたのは20種類だけでしたが、60周年、70周年、…と22世紀に近づいていくにつれて、もっとたくさんのひみつ道具が現実のものになっていることでしょう。マツシバロボット工場で子守用猫型ロボットが量産される未来もそう遠くないのかもしれません。

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